※稼働品ですが、動作時間は計測していません
■キズ汚れ程度
風防：小（盤面内薄汚れあり）
裏蓋：小
ベゼル：小
ベルト：新品社外品
カレンダー：早送り可能

キングセイコー ハイビート 5626-7061 の歴史
■ 登場時期

1970年代前半（1971～1972年頃）発売

搭載ムーブメントは Cal.5626（自動巻き・25石・ハイビート28,800振動・デイデイト・ハック機能付き）

「56KS（キングセイコー56系）」シリーズの中期にあたるモデルで、キングセイコーの最終世代に属します。

■ 技術的背景

56系ムーブメント（5621, 5625, 5626）

諏訪精工舎製。グランドセイコーと共通の設計思想を持つ。

高振動（28,800振動/時）により精度安定性を向上。

秒針停止機能、日付・曜日早送り機構を搭載。

薄型設計で、当時のドレス志向に合った実用時計。

Cal.5626の特徴

「デイデイト表示」を備えた56KSの主力ムーブメント。

公称精度：日差 ±10秒程度（実際は良好な調整でさらに精度良く稼働）。

ただし弱点として カレンダー早送り機構の摩耗（切替車の破損） が知られ、現存個体は要整備のものが多い。

■ デザイン（7061ケース）

ケース番号 7061 は、7000番台や7110/7120ケースとは違う、より直線的・シャープな意匠。

ラグは短めで、全体的にモダンで硬質な印象。

ケース径：約36mm、薄型でスーツに合うデザイン。

文字盤はシルバーやグレー系が多く、バーインデックス＋ドルフィン針を基調とする。

裏蓋には「盾型ゴールドメダル」。

■ 歴史的意義

キングセイコー最終期を代表するモデル

56KSはキングセイコーの中で最も普及した世代。

5626-7061はその中期デザインを代表し、「実用高級機」として広く愛用された。

グランドセイコーとの境界が曖昧に

同じ56系を搭載した「56グランドセイコー」と性能的にはほぼ同格。

デザインやブランド表記の違いで差別化していたが、実際にはKSもGSも同じレベルの精度を誇った。

クォーツ時代直前の高精度機械式

発売当時、すでにセイコーはクォーツ時計（1969年アストロン）を実用化。

5626-7061は「クォーツショック前夜の機械式高級機」として位置付けられる。

■ 現在の評価

56KSの中では「7061」はやや珍しく、コレクター人気も高い。

裏蓋メダルがきれいに残っている個体は特に希少。

整備性の課題（カレンダー切替車の摩耗）があるため、良好なメンテナンス個体を探すのが重要。

グランドセイコーよりも比較的入手しやすい価格ながら、機械式の高精度を楽しめるモデルとして評価される。

✅ まとめると：
「キングセイコー ハイビート 5626-7061」は1970年代前半に登場した56KSシリーズの代表的デイデイトモデルで、グランドセイコーに匹敵する精度と、直線的でモダンなデザインを備えた実用高級機。クォーツ時代に移行する直前、セイコーの機械式最高峰を体現した1本です。