作家:長谷川 潔
作品名:「惑星」
年代:1925年
技法:エッチング ed.25
イメージサイズ:12×8.9cm
額サイズ:34.8×31×2.8cm
サイン:スタンプ有
附属品:額
20世紀版画史に深く名を刻む巨匠、長谷川潔。
銅版画技法を学ぶため1918年に渡仏して以降、1980年に世を去るまで、帰国することなくパリで活動を続けました。
マニエール・ノワール(メゾチント)やドライポイントなど、当時ほとんど用いられていなかった西洋の古典版画技法を復活させ、日本人ならではの美意識を取り入れた独自の表現は、没後の今も高く評価されています。
こちらは、1925年に制作されたエッチング(オー・フォルト)作品です。
当時、長谷川は34歳。
パリの画廊で版画の初個展を開催し、フランス画壇から認められるようになった頃の一作となります。
詩人・文学者・翻訳家として活躍し、長谷川の生涯の友であった日夏耿之介の全3巻から成る詩集『日夏耿之介定本詩集』には、本作の一部を修正して同年に手掛けたエッチング刷りの挿画が収録されています。
《惑星》は、挿画を模索する中で初期ステートとして刷られたもので、限定部数が25部と大変希少なバージョンとなります。
微笑を湛えた横顔の女性。
角を持つ動物や魚、占星術のモチーフが、人物と溶け合うかのように浮かび上がっています。
日夏耿之介の神秘主義的な詩の世界と、長谷川潔の静謐な黒の世界が共演した、精神性漂う秀作です。
マージンには没後に画家のアトリエに残されていたことを示す「K. Hasegawa」のスタンプサインがございます。
表面がゴールド、側面が黒の上質な木製額を合わせました。
金箔を使用したフレームのため、強く擦ったり鋭利なもので引っ掛けてしまうと傷が付きやすくなっております。
末永く大切にお取り扱いいただけましたら幸いです。
100年もの年月を経た版画のため、シートにはヤケや裏面の微細なシミなどの経年変化が見られます。
展示する上でほとんど気にならない程度と判断しておりますが、古い作品の持つ特性として予めご理解くださいませ。
反射の都合上、アクリル板を抜いて撮影しています。
実際の色味とは若干異なっている可能性があります点、ご了承ください。