●貝杓子
百才の老人面。人間の顔は齢を加えるに伴い肉が落ち皺が刻まれ、すなわち顔相が崩れてゆくものである。狂言はその様子を殊更に誇張してこのような面を創りあげた。いろいろな貝殻に木の柄を付けてスプーンの用途に使う食器を貝杓子と言うが、その凹凸や溝や斑点模様のある貝殻に似ていることから、この面を正式名「祖父」の他に「貝杓子」とも呼ぶのである。能の老人面は「尉面」と分類されて、人品の貴賤、気骨の剛柔など様々な人生像を表現しているが何れも顔相は老体ながら端正で、これほど意識的に変型させものは見られない。生涯を労働に明け暮れた、何処にでも居る市井の老人像と見れば親しみを感じさせる面である。狂言「腰祈り」の祖父は着流し装束に頭巾を着け杖をついて登場し、久しぶりに訪れた甥の山伏を見て喜んで《奥の違い棚にある飴をほうばらせいやい〜えのころ（犬）を連れてきて抱かせいやい》などと言って周囲を苦笑させるのである。

サイズ 縦 22.5cm ‪横 15.5cm

素人撮影のため光の加減で写真によっては色味が異なって見える場合がございますが、購入後、一切使用することなく暗所で保管していましたので、素人目ですが傷や汚れなどは見受けられない美品です。

素人出品のため詳細な情報はわかりかねます。
複数枚写真を載せておりますので購入前にお調べいただき、ご納得してからご購入お願いいたします。
経年品ですので神経質な方はご遠慮いただき、それをご理解いただける方、よろしくお願いいたします。