※正常稼働ですが、動作時間は計測していません
■キズ汚れ程度
風防:中
裏蓋:小
ベゼル:小
ベルト:新品社外品
カレンダー:早送り可能
1. バナック(Vanac)シリーズの誕生
発売時期:1971年頃
キングセイコーの中でも、「ドレス性」「デザイン性」に特化したライン。
「Vanac(バナック)」という名称は明確な公式説明は残っていませんが、当時のカタログでは「華やか」「アヴァンギャルド」なデザイン性を前面に出したシリーズとして扱われています。
通常のキングセイコーが「精度・機能重視」だったのに対し、Vanac はケースデザインやダイヤル仕上げで個性を出したモデル群。
2. キングセイコー 5626-5070 の基本
ムーブメント:
Cal.5626A(自動巻き・ハイビート・36,000振動・日付/曜日表示)
キングセイコー最終期に搭載された代表キャリバー(56KS系)
秒針停止機能(ハック機能)付き
ケース:
ステンレススチール
六角形に近い多面カットのデザイン(当時のトレンド=エッジの効いたケース)
ダイヤル:
カラーダイヤル(ブルー・グレーなどのバリエーション)
光沢感の強いサンバースト仕上げ
インデックスや針にも立体的なカットを施す
製造年代:1971〜1974年頃
3. 歴史的背景
1970年代初頭、日本は「クォーツショック」の真っ只中。
セイコー自身もクォーツ・アストロン(1969年発売)を展開しており、機械式モデルは急速に市場で不利になっていきました。
そんな中で キングセイコー Vanac は「高級機械式 × 個性的デザイン」 をテーマに登場。
同時期のグランドセイコー(56GS系)が比較的シンプルなデザインだったのに対し、キングセイコー Vanac は若年層や都会的ユーザーを意識して、派手な意匠を採用しました。
4. 5626-5070 の位置づけ
5626系ムーブメントを搭載するため、精度・機能は最高水準(当時のGSに匹敵)。
一方でデザインはアヴァンギャルド路線。
そのため「実用時計」としてよりも、「デザイン性を楽しむドレスウオッチ」としての評価が強いモデル。
裏蓋には金色の「盾型メダル」がついており、これも Vanac シリーズの象徴的なディテール。
5. 廃番と現在の評価
1975年頃にはキングセイコー自体が姿を消し、Vanac も短命に終わります。
当時は派手なデザインが敬遠され、バナックは一般的にはあまり売れませんでした。
しかし現在では「1970年代らしい前衛的なデザイン」と「高性能56系ムーブメント」を併せ持つモデルとして再評価され、コレクター人気が上昇。
まとめ
キングセイコー Vanac 5626-5070 は、
1971年頃登場
56系ハイビートを搭載した高精度機
派手なカットケースやカラーダイヤルで個性を追求
クォーツ時代直前の「機械式+デザイン勝負」の象徴的存在
短命に終わったが、現在は「遊び心あるハイビートKS」として独自の魅力を放つモデルです